三鬼尊(栃木市満福寺)の土鈴

画像:赤なのに青鬼?
画像:赤なのに青鬼?

■三鬼尊のいわれ

 

むかし、満福寺のそばに一軒の酒屋があった。

 

ある冬の寒い日の晩。「おおー、寒いー。こんな寒い晩は、早く店じまいすんべ。」と言って、おもて戸をおろして奥の座敷へ行こうとした。その時、ドンドン、ドンドン、と戸をたたく音がして、「酒をくれー」という大きな声も聞こえた。

 

「今じぶんだれだんべ」と言いながら、主人がおもて戸を開けたとたん、冷たい風がサーッと吹き込んできて、目の前に大きな足が見えた。

ずうーっと見上げていくと、見たことも無い大男が立っていた。大男は持っていた徳利を主人の目の前にぬっと突き出すと、「酒をくれー」とまた言った。店の主人は、徳利をおそるおそる受け取ると酒をなみなみとついで、大男に差し出した。大男はひったくるように受け取ると、小銭を置いて、闇の中に消えていった。

 

次の朝、主人が銭箱を見ると、それは木の葉だった。大男は、次の晩も、また次の晩も、酒を買いに来た。不思議に思った酒屋の主人は、その次の晩、大男の後をそっとつけて行った。すると、満福寺のそばの暗がりまで来た時、大男の姿はふっと消えてしまった。次の日、主人は満福寺の和尚の所へ行き、今までのことを話した。和尚は深くうなづくと、主人を本堂へ案内した。寺の本堂には、守り本尊の赤鬼、青鬼、黒鬼の三体の鬼の像がまつられていた。真ん中の青鬼の像の所まで来た時、プンプンと酒のにおいがした。

 

和尚は、「酒を買いに行ったのは、この青鬼じゃな」言うと、青鬼を鎖ぐるぐると縛りつけた。それからというもの、酒屋には二度と大男は酒を買いに来ることはなかった。栃木市にある満福寺の青鬼の像は、今でも鎖が巻きつけてある。

 

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土鈴は、佐野市の相沢民芸店で購入させていただきました。

 

ユーモラスな姿に一目ぼれしたものですが、その云われを調べて納得です。

事実は小説より奇なり? 今は、縛られてしまい大好きなお酒が飲めない青鬼さんですが、お酒欲しさに、こっそり出かける様を上手に表現された作品ですね(^_-)

 

ちなみに、青鬼なのに、赤く彩色されているのは、酔っ払って赤くなっているのを表現しているそうです。風前のともしびの土鈴業界ですが、こんな素敵な作品を地域で発掘できるのも、楽しみの1つです。

 

ただし現地では、すでに販売が終了しているそうです・・・

ご購入をご希望の方は、佐野市の相沢民芸店までお越しください^^